緩歩(かんぽ)



例年にない暑い夏もようやく終わりを告げ、程なく重陽の菊花節を迎えるとだんだんと秋の気配が深まってゆきます。

さて、この夏街を歩いていると気がついたことは 、街行く人がどの人も忙しそうに歩いていることです。日中暑かったということもありましたし、また仕事が忙しいので気が急いていたということもありましょうが、いつから人はこんなに急ぎ足で歩くようになってしまったのでしょうか。

obousan12.gif坐禅堂内では緩やかに歩くことが基本とされ「経行(きんひん) 」の名で呼ばれています。「経」とは布の縦糸のこと。呼吸を整え縦糸がまっすぐに進むように歩んでいくことです。「経行」の起源は古く、インドの健康法であり病気療養法でもありました。この緩やかに歩くことの効能は、「遠くに歩いて行けるようになる」「深い思慮ができるようになる」「病気にかかりにくくなる」「消化がよくなる」「長時間坐禅ができるようになる」の五つがあげられています。

忙しい現代人はつい早足になり歩く姿勢も前かがみになりがちですが、たまにはそのような時間を止めて姿勢を整え、呼吸も整え緩やかに歩いて心を静かに保ち自らを省みる、そんな余裕を持ちたいものです。

昌道 合掌