『摂大乗論』に学ぶ

「 『摂大乗論』 に学ぶ 」 に寄せて

 東洋大学学長 竹村牧男


P1180009.JPG大乗仏教思想の一つの大きな潮流を形成した唯識思想は、弥勒(350~430)・無著(395~470)・世親(400~480)によって大成されたと言われます。その思想運動の中で、大乗仏教の綱要をまとめていく作業がなされ、いくつかの論書が作成されていきますが、その中でもっともよく整理されて体系的に編まれた書物が、無著の『摂大乗論』です。

『摂大乗論』は、大乗仏教の特徴を、阿頼耶識・三性説・唯識観・六波羅蜜・十地・菩薩の戒・菩薩の定・菩薩の慧・無住所涅槃・三身の仏身論など、十項目を採りあげて説明しており、大乗仏教とはどのような性格を持ったものなのか、いわゆる小乗仏教と何が異なるのかがよく理解できるものとなっています。あわせて、唯識思想の基本も解説されていて、その理解をももたらしてくれることでしょう。したがって、特に中国や日本のさまざまな宗派の教理に共通の、大乗仏教の基礎学を修得するにも、適切な論書であると思います。

『摂大乗論』そのものは、さほど大部のものではありませんが、これに『世親釈』と『無性釈』とがあり、それらはやや大きなものとなっています。今回の講義では、玄奘訳『摂大乗論』をテキストとして、その二つの註釈や長尾雅人『摂大乗論 和訳と注解』上・下(インド古典叢書、講談社)を参考にしながら解説してまいります。
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大乗仏教の綱要書というと、『大乗起信論』と『摂大乗論』くらいしかありませんが、特に『摂大乗論』は無着の作であることから出自が明確であり、信頼できるものでもあります。そこで、この論書を読むことを通じて、大乗仏教がめざしていることを学んでみたいと思います。

講師:竹村牧男 先生

東洋大学学長、興福寺責任役員をおつとめであり、「『正法眼蔵』に学ぶ」にて、道元禅師さまのお心を分かりやすくお話をしてくださっている、竹村牧男先生がご講義くださいます。

日時:毎月第2木曜日 19時~20時半予定 (2016年1月14日(木)開講)
申込:事前申込不要(受付にて記帳)
テキスト:プリント配布
会費:必要に応じて資料代のみ
会場:青松寺 貝塚ホール